News from Dajabón, DR

I hope to share my observations in Dajabón, situated in the northwestern part of the Dominican Republic, through this blog site. ドミニカ共和国の北西に位置するダハボン州、人口1.8万のダハボン市の様子を、このブログを通じて共有できたら嬉しく思う。 写真も少しづつ載せていきたい。 Check photos here

Saturday, December 31, 2005

過程と結果、調整と調和

登場国のフィールドには、自らの目的とやり方をもった多くのドナー(援助団体)や現地NGO等が混在する。各自がそれぞれ「やらなければならないこと」を遂行しているのだが、意識して他の団体と協調してプロジェクトを進めるところもあれば、重複を無視してドナーの条件に忠実に活動を実施しているところもある。

先日クラベジーナのCentro de Madre(母親集会)に、ある地元NGOがワークショップをやりに来た。テーマは「女性の性とHIV/AIDS」。母親集会のメンバーは大半が40-50代、こちらでは40代になると孫がぼんぼんできるため、おばあちゃんも多い。ちなみに子どもがいない会員は私ひとり。30人強のおばちゃん、おばあちゃんを対象に、NGO代表者は性別・ジェンダーに関して、黙々と話し始めた。内容は性感染症とHIV/AIDSに移り、コンドームの正しい使い方が、プラスチックでできた性器を使ってデモンストレーションされた。普段からオープンなドミニカ人のおばさんたち、質問することを忘れず、陽気に参加している。

でもこのNGOプロジェクトの最終目的って一体なんだろう、と思わざるを得なかった。性教育と啓蒙を通じて青少年の妊娠や性感染症予防対策をすることが目的なら、母親集会を通じてやるより、地元の高校や青年グループを通じてもっと若い層に注目すべきではないか。母親集会は他のネットワークと比べ、歴史があり組織化されていて、情報伝達の手っ取り早いチャンネルとして利用されることが多い。大抵どのコミュニティー(村)にも、20-30人で成り立つ母親集会が存在する。「ダハボン州のOOO人の女性がワークショップに参加しました」という「結果」を出すには便利な手段だ。今回のクラベジーナ村でのワークショップでも、参加者一人一人のサイン(字が書けない人はXXXで済ませてOK)と、それから指紋までとっていった。30人以上の参加者がないとワークショップはできないと後から聞かされた。このプロジェクト・プロポーサルの予想される結果(Expected results)の欄にはおそらく、「O百人の女性受益者」と示されているのだろう。

ダハボン州の母親集会を取りまとめているUnion de Centro de Madres(母親集会ネットワーク)は、このネットワークを「使う」リクエストをしてくる団体の多さに、調整(Coordination)の重荷を背負っていると言う。確かに、カリブ田舎特有のいい加減文化と限られたインフラ環境のなかで、何かを調整するというのは一仕事なのである。ミーティング一つ企画するにも、電話一本という訳にはいかない。村には電話がなかったり、携帯の電波が届かなかったりするので、バイクでわざわざ出向くことも少なくない。そのバイクのガソリン代がなかったり、雨で道が悪くなったり、挙句の果てには「雨に濡れると風邪を引く」というドミニカ人の迷信にも近い言い訳があったりで(実際は濡れて着替えないから風邪を引くのだと思うが)、出向くというのも一苦労なのだ。

例えば以前、ダハボン市から1時間半ほど行った山村にある農村クリニックでコミュニティー保健推進ワーカーと看護婦対象のワークショップを企画していた。前日になり、ストライキでタイヤが燃やされ道がふさがれると言うニュースが入った。一緒に行く予定の保健省のスタッフが、とりあえず繋がる電話にメッセージを送ろうとしたが、あいにく手遅れで、ダハボン近辺のストのことを知らない参加者たちは当日待ちぼうけをくらうことになってしまった。しかも公共交通機関などないので、遠い村に住む参加者たちは、前日からクリニックに来て泊まっていたという。

単純にみえる調整作業が重荷になることは常で、Union de Centro de Madresはその作業を任されることが多いのだそうだ。援助の調和化という聞こえの良い言葉の裏には、政府からの補助金月々8000ペソ(約240USドル)で活動を運営していく現実がある。Unionでは給料の出ているスタッフは一人、あとはボランティアでまかなっているという。アメリカのPeaceCorpボランティアも一人、派遣されている。

もしUnionに運営資金があって、調整作業をやり易くするための環境が整っていれば、先ほど述べたNGOも、まずUnionに相談し、各母親集会のメンバーの年齢層等を下調べして、適切でない場合にはコミュニティーのもっと若い(妊娠適齢)女性や青年らにアウトリーチする方法を考えることができたのではないか。実際このNGOはUnionにアプローチしたらしいが、Unionは「調整手一杯」の状態で協力できなかったらしい。(協力できなくても相談くらいはできたと思うのだが。)

長くなったが、調整の面倒臭さ故にそれをスキップして結果にだけ辿り着こうとすると、本来の目的からずれてしまうことがある。当たり前のようだが、プロセスを軽視してはならない。また、結果重視(Result-oriented)を批判するつもりはないが、ドナーは調和にかかるコストとベネフィットを視野に入れて案件形成に関わらねばならない。

目的達成のために、手段選ばずになることも、手段を選んだために、目的が計画通り達成されないこともある。フィールドから遠く離れた事務所で仕事をしていても、結果だけでなく、手段、過程や中身にも目が届くようにしたいと思う。

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